強い歯をつくるには、ふだんの食生活で十分に栄養のバランスがとれた食事をとることが大切です。 人間の歯や骨は、体の中で最も硬い組織で、少量のタンパク質と多くのカルシウムやリンなどのミネラル成分でできています。 これらの成分は、強い歯をつくるために欠かせない基本栄養素です。 むし歯の発生は、歯・細菌・食物の3つの因子が同時に存在することにより、従ってむし歯予防とはこの因子を除く、あるいはコントロールすれば良いということになります。 |
具体的にはどういうことでしょうか? |
まず第1に甘味の摂取を制限することです。甘い物を食べるとむし歯になることは知らない人はしてないぐらいですが、実際に制限するのは困難です。 重要なのは味覚の感受性が確立する3才までの生活習慣の中でコントロールすることです。 2番目には清掃をすることです。ブラッシングは簡単なようで実は難しい事なんです。磨いていても磨けていない場合が多いようです。 ポイントは歯のつけ根、歯の隣り合った面、奥歯の噛み合わせの面ですが、どの部分をどのように磨けば良いかは、歯科医師や歯科衛生士にブラッシング指導を受けると良いでしょう。 食べ物のカスがついたまま24時間経つと、歯の表面では、むし歯菌が相当に繁殖します。とくに寝ている時間は、だ液の流れが弱いので、 歯のエナメル質から溶け出したカルシウムやリン酸が補われず、危険な状態が長くつづくことになります。 そこで歯みがきをするよいタイミングは? |
●寝る前は必ず ●食前・食後はできるだけ |
これを毎日の習慣にすることが、大切です。 3番目にはフッ素の応用です。フッ素は歯を丈夫にし、細菌のつくる酸に溶けにくくします。 方法は歯科医院で歯にフッ素を塗ってもらうこと、フッ素入り洗口剤で口をゆすぐこと、フッ素入り歯みがき剤を使うことなどがあります。 |
フッ素については有害じゃないのかと心配される方もいらっしゃるのでは? |
フッ素は予防に用いる程度の量なら心配ありません。私達の体の中はもちろん、緑茶・塩・イワシ・海草・牛肉などの食物、自然界のあらゆるものに含まれています。 歯科医師や歯科衛生士によって正しく使用される場合は問題ありません。 |
どうしてフッ素でむし歯が防げるのでしょうか? |
フッ素を歯に作用させると、歯の表面から取り込まれ、歯の結晶(アパタイト)の一部になります。フッ素を含んだ歯の結晶は、普通の歯の結晶よりも丈夫になり、 むし歯菌の出す酸に対し強くなります。 ですからフッ素を適切に使うと、歯の表面が強くなり、むし歯になるのを防ぎます。 また、歯のエナメル質のまわりにフッ素があると一度脱灰した部分の再石灰化を促進し、エナメル質の補修がしやすくなります。 最近の研究では、この再石灰化促進力の方がむし歯予防効果としては大きいとされています。 |
キシリトールとは? |
キシリトールは、樺や樫などの樹脂からとれるキシラン・ヘミセルロースから作られる天然の甘味料です。 砂糖などの甘味料とは違い、キシリトールは口の中の細菌の栄養源にならず酸をつくりません。 またキシリトールにはごく初期のむし歯を元に戻す効果があることも確認されています。 キシリトール入りのガムやトローチ、歯磨きなども市販されています。 むし歯が発症するのは4つの条件が重なったときです。 したがってむし歯の予防にはむし歯の原因をつくらないこと(リスクコントロール)が大切になります。 |